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立憲民主、共産、社民の野党3党は3日午後、同性婚を法律で認める民法の一部改正案を衆院に提出した。立憲民主党は夏の参院選に向けても性的少数者(LGBT)の候補者を擁立するなど、多様性を認める社会の実現に積極的な姿勢を打ち出している。
同法案は性的指向にかかわらず「婚姻の平等」を実現するため、同性の当事者間でも婚姻が成立することを明記。同性婚カップルにも特別養子縁組を認めるよう規定を整備する。同性婚を認めることに伴い、「夫」や「妻」という表現を「婚姻の当事者」、「父・母」を「親」とするなど中立的な文言に改正することも盛り込んだ。同性婚を巡っては、憲法24条に「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると書かれており、政府は同性婚の成立を認めることは「想定されていない」との見解を示している。民法や戸籍法での「夫婦」は男女を意味しており、同性婚をしようとする人の婚姻届は受理することはできないとしている。
立憲民主党は昨年、憲法24条は戸主や親の承諾を必要とする戦前の制度から、本人の自由意思に解放する趣旨であり、同性婚を禁止する規範ではないと解釈している。同性愛者であることを公表している同党の尾辻かな子衆院議員は、法案提出について「日本の法整備の遅れを取り戻す一歩になるのではないか」と指摘。「家族の形が多様化している」現状の中で、「与党も前向きにとらえて審議してほしい」と語った。
国内では、同性カップル13組が同性婚が認められないのは違憲だとして国に損害賠償を求める訴訟を東京・大阪などで起こしている。国は争う姿勢で、菅義偉官房長官は「わが国の家族のあり方の根幹に関わる問題」であり「極めて慎重な検討を要する案件」との考えを示した。自民党内でも同性婚に関しては慎重な意見が多く、稲田朋美筆頭副幹事長は今年2月のインタビューで、党内で同性婚容認を「議論できる状態にはない」と述べた。
一方、東京都渋谷区など一部の自治体は、同性カップルが結婚に相当する関係であることを証明する「パートナーシップ制度」を導入している。
世界では、欧米を中心に同性婚を認める動きが広がっている。主要7カ国(G7)のうち同性婚やそれに準じるパートナー制度がないのは日本だけとなっている。アジアで初めて同性婚を法制化した台湾では先月24日、同性カップルの婚姻届を受理し始めた。法案提出後の記者会見で尾辻議員は、「同性パートナーと暮らす人も平等な権利を持つ日本になってほしい」と述べた。
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