新型コロナで性的少数者が苦悩「感染したら性的指向や関係が公に」 パートナーと距離も、差別の問題 ...
新型コロナウイルス感染拡大の中で、性的少数者(LGBTなど)が抱えてきた社会制度や差別の問題が浮き彫りになっている。自分や同性パートナーが感染すれば、「セクシュアリティやパートナーとの同居が公になってしまうのでは」「法的な関係でないため、パートナーの安否や病状を教えてもらえないかも」といった不安があるからだ。性的少数者たちは「同性婚などの制度を早く整えてほしい」と訴える。
男性同性愛者「ゲイ」で滋賀県の会社員今倉俊さんと、大阪府の介護福祉士竹並悠人さん=ともに30代、仮名=は仕事の事情で別々に暮らしているが、事実婚の関係だ。「ゲイなんて頭がおかしい」。職場などで耳にする心ない言葉に傷つき、周囲には隠している。
3月、今倉さんはウイルス感染者と濃厚接触者の関係性や居住の形態を報じるニュースを見て、恐怖を感じた。各自治体は感染症法に基づき、感染者の行動歴などを聞き取って発表する。今倉さんは調査の過程で相手との関係を感づかれ、カミングアウトを強いられるかもしれない、と不安を募らせた。調査協力は努力義務だが、「できる限り本当のことを答えたいが、彼を守るためにも全てを正直に話すのは難しい」。■行政の対応定まらず
感染者として公表される場合、情報公開の範囲など行政にどこまで要望が聞き入れられるかも気掛かりだ。性的指向や性自認を本人の了解なしに暴露するアウティングにつながる危険性もある。京都府、京都市、滋賀県は「どう公表するか要望は聞く」とするが、トランスジェンダーの性を戸籍上と自認のどちらで発表するかなど、対応は定まっていない。
2人はリスクを減らすため、しばらく会わないと決めた。だが、不安も残る。同性婚が認められない日本では片方が感染し重篤になっても、個人情報として病院や行政に教えてもらえない可能性が高い。2人は毎晩、近況を報告し合うようになった。竹並さんは「心のつながりだけでは限界があると痛感している」と語る。
一方、生まれ持った体と戸籍は男性、心は女性のトランスジェンダー(MtF)の西添幸司さん(28)=京都市、仮名=は上司に頼み、女性として働く。性別適合手術を受けるため、病院で月2回、女性ホルモンを投与しなければならない。ウイルスに感染した場合、入院先では投与を続けられない不安がある。「周囲の協力で、自分らしく生きられている。男性として公表されるのは怖い」と話す。
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同性婚の実現を目指す「マリッジ・フォー・オール・ジャパン」(東京都)は当事者らに30日まで緊急アンケートを募る。「パートナーが意識を失った際、治療の意思決定ができない」「相手が亡くなった場合、遺産相続できず、同居する家を出なければならない」など、28日までに217件の声が寄せられている。
政府への要望で多いのは「同性婚の実現」。全国47の自治体が導入する同性パートナーシップでは法的拘束力がなく、そもそも京滋で導入する自治体はない。共同代表の寺原真希子さん(45)は「コロナで顕在化した問題の根本には差別がある。国が同性婚などの権利を認めることで市民の偏見も和らぎ、日本が大きく変わる一歩になる」と語る。
新型コロナで性的少数者が苦悩「感染したら性的指向や関係が公に」 パートナーと距離も、差別の問題
クリハラチアキ
ただの風邪だと「正しく」扱ってりゃこんなことにはならなかった。。。