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広がる米企業のLGBT支援、強力な変化の原動力に

コラム:広がる米企業のLGBT支援、強力な変化の原動力に
啓発イベントである「プライド」パレードを前に、ニューヨークのビルボードにはレインボーフラッグが大々的に掲げられ、店頭を飾り、さらにはメールの署名にまで添えられている。この様子を見ると、そんな企業はないだろうと言いたくもなる。
現状を斜めに見るのは簡単だが、短期的な利益だけでは説明がつかないほど、米企業は全面的なLGBT支援を表明している。まだまだ啓蒙(けいもう)が必要な中、目に見える支援は動機よりも大切だ。
米化学大手ダウ(DOW.N)のフィッタリング最高経営責任者(CEO)やアップル(AAPL.O)のクックCEOなど、大企業を代表するLGBT人口はごくわずかなものの、LGBTの従業員や顧客への待遇は大きく進展した。

LGBTに対する適正な取り組みをする企業を評価する人権団体ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団の「企業平等指数」では、今年100%と評価された企業は570社以上となり、10年前の倍となった。また、経済誌フォーチュンが選ぶ米企業上位500社では、85%の企業がジェンダー・アイデンティティー(性自認)を社の差別禁止規定に含めている。これも、5年前のわずか61%から大きく増加した。
以前はどれだけ状況が違ったか、記しておこう。

1991年、レストランチェーンのクラッカー・バレル・オールド・カントリー・ストア(CBRL.O)は、「通常のヘテロセクシュアル(異性愛)の価値観を示す性的指向を示すことができない」従業員は解雇する、と発表。それに反対する株主らの提案も、国の規制機関のお墨付きをもらって退けた。
同年、英・オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L)は、ゲイであることが周囲に発覚して解雇された元従業員の男性が起こした裁判で敗訴している。
今日、企業がそのようなことをやってはいけない、という考え方は主流になった。クラッカー・バレルにはいまやLGBTの従業員のための同盟があり、包括的な差別禁止規定が整備され、同性婚のカップルにも異性婚カップルと同じ福利厚生が約束されている。

時価総額2300億ドル(約25兆円)のシェルはオープンにLGBTコミュニティーを支援している。複数の調査によると、そのような姿勢を見せることは株主や収益性に良い影響を与え、いまやわざわざサポートを宣言することは古くさく感じるほどだ。時として、変化は株主からではなく、株主を裏切る形で始まる。

携帯大手TモバイルUS(TMUS.O)やジーンズメ-カー、リーバイ・ストラウス(LEVI.N)がレインボーカラーをふんだんに使った広告キャンペーンを打ち出し、LGBTへの支援を表明することが利益につながることを証明した一方で、大企業に対する株主の働きかけは実を結ばないことが多かった。資産運用大手ブラックロック(BLK.N)を含む石油大手のエクソン・モービル (XOM.N)の投資者らは、株主によって提案された、性的指向と性自認を差別禁止規定に明確に含めるという案を複数回にわたって却下した。同社は結局、2015年にそれを受け入れた。

<まだ道半ば>
投資家らは、こういった闘いには向いていないといえる。まず、他の環境や社会問題への取り組みと比べると、目先の利益が見えづらい。また、他のマイノリティー集団と比べて、LGBTコミュニティーの規模が小さいということもある。さらに、問題を解決することによって恩恵を受ける層が見えず、その数が不明なことも挙げられる。
いまは多数の企業で、自発的に申告する機会を従業員に提供しているものの、多くの従業員は語らず、参加したがらない。
変化を強制されていない企業も変わることができるという意味で、エクソンの例は励みになるといえる。そして世間の動きに追いつき始めている企業は同社だけではない。
今年、ヒューマン・ライツ・キャンペーンが発表した大企業の年次ランキングでは、石油・ガス業界の中央値は100点中50点。素晴らしくはないが、3年ほど前に同じ企業らが記録した、悲惨な20点よりはずっとましだといえるだろう。

まだなお、やるべきことは多い。米国人の半分は、民間企業の従業員がレズビアン、ゲイ、トランスジェンダーであることを理由に解雇される可能性がある州に住んでいる。米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が25日、ギャラップの調査を引用した通り、LGBTの人たちの失業率は全国平均のほぼ倍だ。トランスセクシュアルになるとそれは3倍になる。
これは政府が解決すべき問題で、党派対立問題でもある。民間企業に適用される雇用指針がない26州のうち25州は、2016年の選挙で共和党が勝っている。
LGBTの従業員、顧客、そして彼らを支援する人たちにはまだまだ闘うべきものがある。企業にも、政治家らが対処できていない不足を補うために、必要に迫られずともインクルーシブな方針を打ち出したり、声を上げたり、この運動が正しい方向に向かっていくことをサポートしたりしていくというミッションがある。
その結果が、やる気の高い従業員や、満足度の高い顧客、より高い株価につながれば、変化を応援していた投資家も、そうでなかった投資家も、いつの日か「これでよかった」と感謝するだろう。

クリハラチアキ
LGBTと収益性はそんなに関係ないだろう。
でもそれで少しでも多くのLGBTの生き方が緩和されるのであればOKじゃん!
ぶっちゃけアクセサリー的な使い方をしてる企業もあるわけだけど、それでOK



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