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【朗報】大阪の男の娘BAR・洋酒喫茶かんから、リクルートの媒体で特集される

「やっぱり女装は気合いですよ」ずっと陰キャだった少年が、オトコの娘(のママ)になるまで

こんなホットでウエットな夜は、素敵なママがいる止まり木を見つけ、きりッと冷えたお酒をあおりたい。

そんな想いを抱いて訪れたのは、雑居ビルの4階にある「洋酒喫茶かんから」。オープンして5年と半年が経ったこの「かんから」さん、ママがとびきりチャーミングで、なおかつ「おつまみがおいしい」と評判なのです。

全身ロリータ・ファッションづくめ
「いらっしゃいませ」
迎えてくれたのは、ロリータ・ファッションに身を包んだ仲良真澄美(なかよしますみ)さん。
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「洋酒喫茶かんから」は、飲食の業種でいえばスナックになるでしょう。
店内はL字カウンターと「こあがり」がしつらえられ、畳の上でくつろぐことができる造りです。
チャージ500円、ドリンク一杯500円~という、お安い明朗会計がうれしい。それにしても仲良真澄美ママ、確かにチャーミングです。

仲良真澄美さん(以下、真澄美):散らかっているでしょう。「家みたいな店」がコンセプトなので。でも「散らかっているから落ち着く」と言ってくださるお客様もいるんですよ。

棚には漫画がぎっしり。テレビにはゲームがつながっており、対戦で遊べます。確かに、ツレの家へ遊びに来たようなアットホーム感をおぼえます。

「洋酒喫茶」なのに、なぜか焼酎が豊富
では、のどが渇いているので、さっそく飲み物を。
……あれ? 「洋酒喫茶」と銘打ちながら、焼酎の種類が多いですね。鹿児島の芋焼酎「さつま五代」なんて、関西では、なかなかお目にかかれないレアな銘酒ですよ。

真澄美:焼酎は50種類以上あると思います。父親の実家が鹿児島で、珍しい焼酎が手に入りやすいんです。父を通じて仕入れているうちに、焼酎ばかりが並ぶ店になりました。もう、洋酒喫茶でもなんでもない。(苦笑)

というわけで、焼酎の水割りをいただきます。
こちらは焼き物の器に注いでくれるのが特徴。
ちなみに「洋酒喫茶」も「かんから」も「語感がいいから」名付けたそうで、特に深い意味はないのだそう(もちろん、看板に偽りなく、洋酒も多数ありますよ)。

驚異のコスパ! 手料理のビュッフェ
では続いて、評判の声が高いおつまみを。

真澄美:うちは、おつまみは“ビュッフェスタイル”なんです。カウンターに並んでいるお惣菜を、好きなだけ皿に取ってお召しあがりください。
うほぉ、どれもおいしそう。

ブラックペッパーとハーブソルトがたっぷりとふりかけられたポテトサラダ、フジッリ(小麦を使わないショートパスタ)とにんにくのバジルソース和え、スパムのおにぎり、オリーブのオリーブオイル漬け、いぶりがっこ、塩こんぶとクリームチーズ……。

真澄美:まだすべては揃っていないです。今日はこのあと、煮卵と、炒りこんにゃくが並びます。こんなふうに、毎日だいたい10品つくっています。

素朴な風味ながらスパイスがばっちり効いたポテサラ、茹で加減が絶妙で、ふにょふにょした食感がおもしろいフジッリの和え物、おいしいです。冷たいお酒が進みます。
真澄美さん、これでおいくらですか?

真澄美:400円です。

なんですって!?
よ、よんひゃくえん……ひと皿で?

真澄美:いえ、全部で。どれだけ食べても、おかわりしても400円です。もっとしょぼい日は300円だし、反対にお肉などを出す日は500円といったように、300円〜500円の間です。安いですか? その都度つくるのはめんどくさいし(笑)、ビュッフェスタイルだから、この金額でもやれるんです。

いやあ、これだけ食べて400円とは。コスパみがエグいです。

「男の娘」ママは波乱の人生だった
そして驚くべきはもうひとつ、ママの真澄美さんは「男の娘」(おとこのこ)、つまり男性なのです。細やかな仕草や、ふとした表情の愛らしさからは、なかなか見抜くことができません。

真澄美:特別、女の子を演じてはいません。声も話し方も変えていないです。もともと声はイカツくないし、大阪弁って、女の子も男の子も、極端な違いってないじゃないですか。なので、いつも自然にふるまっていますよ。

女装はするけれど、「意識して女の子っぽく演技した日はない」という真澄美さん。この堂に入った女装は、いつから始めているのでしょう。

真澄美:初めて女装で店に立ったのが20歳。だから、職業としての女装は10周年になりますね。女装で店長を務めるのは3軒目ですが、個人で開業したのは、この「かんから」が初めて。前にいたお店はオーナーが突然「ベトナムでゴム園を始めるから、この店をつぶすわ」って言いだして、日本からいなくなったんです。それで超大慌てで、この物件を探しました。

初めて勤務した女装バーも「必死で働いて納めた売り上げを、オーナーがパチンコでたちまち溶かしてしまうのがツラくて」退店したというから、なかなかの波乱人生。

小学校から高校まで「陰キャ」だった
では真澄美さんは、いったいなぜ女装を愛好するようになったのか。どうしてロリータというジャンルを選んだのか。おいしい肴とお酒をしみじみといただきながら、そのヒストリーをうかがいました。
真澄美さんは東大阪市の出身。ごく普通のサラリーマン家庭に育ちました。「やせっぽちの、目立たない少年だった」と言います。

真澄美:小学生の頃は、めちゃめちゃ「陰キャ」でしたね。友達と屋外で遊ぶ日はほとんどなく、ひとりで、家で黙々とゲームをやっていました。平成元年生まれやから世代的にはNINTENDO64やプレステの時代にあたるんですが、父がファミコンソフトをひと通り買っていて、僕も父が集めたカセットを借りてファミコンで遊ばせてもらっていました。

小学校を卒業し、地元の中学校へ進んだ真澄美さん。当時はまだ校内暴力が横行していて、社会問題になっていた時期。「陰キャ」だった真澄美さんは、ますます委縮しながら通学する日々を送ります。

真澄美:中学時代は、ビビりながら過ごしていました。校舎の廊下を原付バイクで走る生徒がいたり、誰かがトイレで消火器を噴射させて真っ白になったり、毎日どこかしらから窓ガラスが割れる音がする、そんな学校でした。僕はヤンキーから目をつけられ、たびたびボコボコにされましたね。ただ「歩いていた」ってだけの理由で。ひ弱だったので、いじめの標的にされやすかったんです。

「いつ、ヤンキーにシバかれるか」と怯えながら暮らしていた真澄美さん。高校時代も「ネットゲームをやっていた記憶しかない」と、うちにこもる毎日。

元祖アキバ系女王との出会いが人生を変えた
そんなうつむき気味な十代を過ごす真澄美さんですが、高校を卒業するかしないかの時期に、ひと筋の光が差し込みます。きっかけは、カリスマ的な人気を誇る、あるクリエイターとの出会いでした。

真澄美:高校3年生のとき、アニオタを経て声優オタクになり、当時からすでに活躍されていたアーティストの桃井はるこさんに萌えまして。高校を卒業すると、ビルのメンテナンスなどアルバイトをしながらお金を貯め、東京の秋葉原で開催される桃井さんのライブやイベントにも参加するようになっていったんです。アキバで新しい友達もたくさんできて、みんなでキャッキャキャッキャはしゃいで、あの頃は楽しかったですね。女装を始めたのも、この頃。19歳でした。

初女装は19歳。しかし、「モモーイ」こと桃井はること女装、いったいどんな関係が?

真澄美:女装をした理由は、桃井さんのイベントで目立ちたかったからなんです。そして、桃井さんファンつながりで知りあった関東の女の子から、「それなら女装すればいいじゃん」と勧められまして。「女装? うん、ええよ」って、軽い気持ちで応えました。

桃井はるこのライブで「目立ちたい」。
そしてひと目でいいから桃井はるこの目線がほしい。
女装を始めたいきさつは、その一心だったのだそう。過去に女装の経験はなかったのでしょうか。

真澄美:それまで女装をした経験はマジで一度もなく、関心もなかったです。よく男の子がふざけて「おかんのスカート、はいてみた!」とか、やるじゃないですか。ああいうやんちゃ体験すら、一切なかったです。

初めての女装以来「ロリータひと筋」
桃井はるこが開く秋葉原のライブで目立つために、コスプレ感覚で幕を開けた真澄美さんの女装人生。記念すべき第一歩として袖を通したファッションのジャンルが、いきなり「ロリータ」。

真澄美:その娘はロリータ・ファッションが好きで、スカートや厚底靴など、全部貸してくれたんです。レディースなのでサイズはもちろん合わず、キツかった。とはいえ、当時の僕はガリガリに痩せていたので、むりやり着ることができました。

細身だったおかげで、なんとかレースやリボン、フリルがほどこされたジャンパースカートに身体を押し込むことができた真澄美さん。
しかし、さすがに靴は、足が入らないのでは。

真澄美:靴も「痛い痛い!」って泣きそうでしたが、我慢して履いているうちに馴れてくるもんなんですね。やっぱり女装は気合いですよ。それ以来、今日までロリータ・ファッションひと筋です。

一途にロリータで十余年。クローゼットには、30着を超えるお洋服が並んでいるのだとか。

真澄美:アメリカ村(心斎橋の西側一帯)にロリータ・ブランドのショップがたくさんあるので、そこで揃えます。最近は身体が大きな人でも着られる、ゴムで伸縮するロリータ服があるので、僕でも大丈夫なんです。

「女装に納得がいかない」まま10年が経過
お話をうかがっていて、やはり疑問が。「桃井はるこのライブで目立ちたい」という衝動に駆られて始めた女装を、なぜその後10年にわたって続けているのでしょう。

真澄美:女装を続ける理由は、初めての女装が、納得できなかったからです。鏡を見て、「なんてブサイクなんや。なんてグロテスクなんや。ただのヤバいやつやん」と失望してしまいまして。それで「もっとキレイになりたい」「メイクをこう変えると、かわいくなるかな」「こう着こなすと、マシになるのかな」と、ああでもない、こうでもないと試行錯誤を続け、それでも未だに“ばっちりキマッタ! 感”が得られず、現在に至るという感じです。そうして、気がついたら、10年が過ぎていました。

いりこ出汁が効いた絶品ラーメン
初めての女装が気に入らず、昨日の自分を超えるため、今日もロリータ・ファッションに挑む真澄美さん。ここからの僕の質問は、真澄美さんの地雷を踏む危険性がある。
肝を据えるため、腹ごしらえがしたい。僕はおつまみではない「一品」を注文することにしました。

真澄美:では、しょうゆ豚骨ラーメンはいかがですか。いりこで出汁をとっていて、けっこう評判がいいんですよ。

ラーメンは700円。ぶ厚いチャーシュー、大きな海苔が、ともに3枚。いりこのほろ苦さがほどよく効き、縮れた麺がスープにからんで、たまりません。

これはうまいです。
ここ「かんから」ではラーメンや肉そば、おにぎりセットなど食事メニューもおいしいのが魅力(どれもが必ずあるとは限りません)。

「女装をしたいだけ。中身は平凡な男です」
では、お話を続けます。初めての女装をきっかけに「ロリータひと筋」という真澄美さん。
僕は思ったのです。初めての女装が、それまで内在していた乙女心を表出させたのではないかと。

真澄美:う~ん……乙女心は、ないかな。僕は女装をしたいだけで、女性になりたいわけではないんです。中身は、ただの平凡な男。「メイクをしたりロリータ・ファッションに着替えたりすると、心が女の子になる」なんてことも、まったくない。ヘンにテンションがあがるわけでもない。ただただ男で、ただただ女装を極めたいんです。

「ただただ女装を極めたい」。
それでも誤解を受けることはあるのでは。

真澄美:ありますね。よく「性癖なのか?」と訊かれるんです。けれども、それは違います。そもそも僕にとって女装は性的な行為ではないんです。コーフンするとか、まったくない。だから自分でも「なぜこんなに女装に惹かれるんだろう。なぜ毎日、女装をしているんだろう」と悩んだ日もあったんです。そして、やっと答が出たんです。

その「答」とは……。

真澄美:ある日、たまたま大衆演劇を観る機会があり、「自分がやりたいのは、これや!」と気がついたんです。大衆演劇の女形(おんながた)さんって、女性になりたいのではなく、「女形を極めたい」と思っていらっしゃる。僕は芸能人でも役者さんでもないけれど、カウンターという舞台で「女装を極めたいんや」と、わかったんです。腑に落ちたというか。それ以来、大衆演劇の役者さんたちに表現するうえでの心がけや工夫を訊いたり、メールでやりとりをしたりするようになりました。

カウンターは舞台であり、お客さんは観客。そういった関係性のなかで、女装という表現を極めたいと考える真澄美さん。セクシャル・マイノリティの視点だけでは語れない、もうひとつの深奥な世界が、ここにありました。
「表現」の大切さは、桃井はるこのライブから授かった、もっとも重要なことだったのかもしれません。

真澄美:自分なりに「完璧やん。これでええわ」と思えたら、その日で女装は辞めるでしょうね。ただ、まだその境地には辿りつけないのですが。

さまざまな人生の機微に触れながら、夜は更けてゆく
霧が立ち込め、街の灯りが幻想的ににじむ、千日前の夜。

湿度が高いこの街の一画で、おいしいお酒と、おいしいおつまみをいただきながら、多様で深い人生の話を聴く。こんなに味わい豊かな時間が、あるでしょうか。
ひとりの表現者が己の道を極めようとする姿をカウンター越しに鑑賞できる。こんな贅沢な場所があるでしょうか。

「なかよし」ことは美しき哉。雑居ビルのドアの向こうには、いろんな人生があります。人々が袖すりあって、交差して、かんからかんと音を立てて転がりながら、またそれぞれの居場所へと帰ってゆくのです。

皆さんも、心がかんからに乾いた日は、ロリータママの手料理に癒されに来ませんか。

店舗情報
洋酒喫茶かんから
住所:大阪府大阪市中央区千日前1-5-10山よしなんばビル4F
電話:050-5257-1271
営業時間:20:00~5:00
定休日:基本、年中無休(要確認)
www.hotpepper.jp

クリハラチアキ
ひさびさにいきたくなったな



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