神父の8割はゲイ
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『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが、キリスト教内部で頻発する性的スキャンダルの問題について語る。
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バチカンを総本山とするローマ・カトリック教会が揺れています。先日、フランスの社会学者フレデリック・マルテル氏が教会内での同性愛の実態を描いた著書『In the Closet of the Vatican』を発表。4年かけて教会幹部を含む約1500人の関係者にインタビューし、「教会で働く聖職者の8割は同性愛者」だと主張しています。
この数字の根拠はなんなのかと疑いたくなりますが、セクシュアリティを隠している人も含めると、聖職者たちのかなり多くが「聖書が糾弾している行為」を自ら行なっているという指摘には信憑(しんぴょう)性を感じます。自身もゲイである著者は、そのダブルスタンダードを告発したわけです。同書によると、聖職者の中には非常にアクティブなゲイもいて、日本でいう「ハッテン場」のような所で男娼と一夜限りの関係を楽しむ人もいるそうです。また、表向きは同性愛を嫌悪する高位の聖職者ほどゲイの割合が高いとの指摘もあります。
2002年に米ボストンのカトリック教会における児童への性的虐待が発覚したのを皮切りに、近年では世界中の教会の性的スキャンダルが報じられています。先日も、神父たちが修道女たちを性奴隷扱いしていたフランスの修道会を前法王が閉鎖させたという"事件"の存在をカトリック教会が正式に認めました。
しかも、暴行された修道女がカトリックの教義では禁じられている人工中絶を余儀なくされるケースもあったといいます。さらに日本でも、あるカトリック信徒が幼少期に児童養護施設のトップにいた神父から繰り返し性的虐待を受けていたと実名告発したケースがあります。南米出身のフランシスコ現法王は開かれた教会を目指し、さまざまな改革に取り組んでいます。しかし、ことこの問題に関していえば、タブーとされていたものの"フタ"を開けてみたら、想像以上に都合の悪い話が多数出てきてしまった――そんな状況に見えます。
ただし、問題はカトリックに限りません。米最大のプロテスタント教派である南部バプテスト連盟でも、指導者やボランティア約380人による性的虐待疑惑が発覚。1998年以降の被害者は700人以上に上り、そのほとんどが子供で、最年少の被害者は当時3歳だったそうです。
なぜ、キリスト教内部で性的スキャンダルが頻発するのか。もはや、それぞれを個別の問題ととらえるのは無理がある。構造の中に問題の本質があり、それらが組織的に隠蔽(いんぺい)され続けてきたのだと言うしかないでしょう。ひたすら禁欲的であることを求め、同性愛や人工中絶を絶対悪とする教えの中に根本的な矛盾が含まれていることは明らかです。
ただ、だからといって"解釈改憲"的に聖書の読み方を変えて対応するのも難しいでしょう。靴の中に小石が紛れ込んでしまったように、ある種の気持ち悪さを抱えつつ歩いていくしかないのかもしれません。
特に、今回暴露された聖職者の多くがゲイという話は、まったく落としどころが見つかりません。法王は「寛容な社会の実現」を訴えていますが、その寛容さに同性愛が含まれないことについて、どう向き合っていくつもりなのか。そもそも向き合うことができるのか。混乱は続きそうです。
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禁止されると欲求を呼ぶ。