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秋田で投函されたLGBT差別あおるビラ 誇張し偏見 問題の背景は?

秋田で投函されたLGBT差別あおるビラ 誇張し偏見 問題の背景は?

今年9月、秋田市内の一部の民家に「過激な『同性婚合法化』運動に気を付けよう」と書かれたビラが投函(とうかん)された。LGBTなど性的少数者への差別をあおるようなビラは、当事者の家にも投函されたといい、相談を受けた支援団体は「本人たちの幸せを侵害する権利は誰にもない。誤った情報で差別や偏見をあおるとは」と憤る。

性的少数者を支援する団体「性と人権ネットワークESTO」の真木柾鷹代表によると、当事者から寄せられた情報で問題のビラの存在が発覚した。ビラの投函が確認されたのは、秋田市議会でパートナーシップ制度に関する一般質問が出た直後。戸籍上は女性で男性として暮らす当事者の家にもビラが配られ、秋田地方法務局や県警、県などに相談している。

ビラには、パートナーシップ制度や当事者の人権を否定するような記述があった。「行き過ぎた主張が無批判に認められていく危険を感じる」「子供たちにマイナスの影響はないのか」「(海外では同性婚が認められ)婚姻制度が根底から揺らいでいる」。ビラを投函された当事者本人は「個人を特定してまかれたとすれば非常に怖い。存在を否定された気がする」と不安を募らせているという。

秋田市では8年前、戸籍上は女性で性同一性障害と診断された秋田市内の30代の元会社員が、男性として生きることの社会的な難しさに絶望し、自殺したことがあった。元会社員はESTOの会員で真木代表とも交流があったといい、「二度と同じことが起きてほしくない。知識がない人は、ビラの内容を信じてしまう恐れもある。憲法に保障された平等な生活や、基本的人権が保障されていない実態を知ってほしい」と訴える。

秋田県の佐竹敬久知事は10月、定例記者会見で「狭い了見だ。ああいう表現ですべきではない」とビラを非難。性的少数者を含めたあらゆる差別解消を目指して、条例を制定する意向を示した。毎日新聞はビラを配布した代表者の連絡先にメールを送り、意図や目的などを質問したものの、回答期限までに返事はなかった。

性的少数者を支援する認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」(大阪市)によると、これまでに全国60自治体がパートナーシップ制度を導入、1301組が証明書の交付を受けている。ビラは制度について「当事者のうち制度を望むのは3割」「(札幌の)利用者は月3組未満」と導入自治体の例を示した上で「実際のニーズを慎重に見極める必要がありそう」と記され、制度に否定的な立場が強調されている。

ビラで、証明書の交付が月に1組未満と引き合いに出された東京都渋谷区。区の担当者は「証明書の交付件数を増やすことだけが制度の目的ではない」と否定する。渋谷区は2015年に全国で初めて証明書の交付制度を設け、50組が交付を受けた。多様性のある社会を目指すと同時に、当事者が直面する人権課題の啓発効果も期待されている。区の担当者は「件数の多寡で制度は評価できない。それよりも、いまだに声を上げられない人がいる現状を直視すべきだ」と話す。

レズビアンであることを公表し、性的少数者の啓発活動もしている盛岡市議の加藤麻衣さん(26)は「当事者がいる事実は変わらない。本人らは安全安心に暮らす権利を回復してほしいだけ」と訴える。パートナーシップ制度や同性婚の議論が進むと、ネット上では攻撃的な意見が目に付く。加藤さんは「差別をなくすことは難しいけれど、応援する声は増やせる。不安を抱える当事者がいたら、そのことを忘れないで」と呼びかける。

金沢大の谷口洋幸准教授(国際人権法)は、性的少数者を巡る一連の差別的な言動にはホモフォビア(同性愛嫌悪)の感情があると指摘し「不安感に言葉を与え、論理を飛躍して、不安をあおる。思い込みや誇張された内容には注意が必要だ」と警鐘を鳴らす。性的指向に基づく差別やヘイトスピーチについて、刑事罰の対象とする法律がスイスで可決された例もある。谷口准教授は「他国であれば規制対象になる可能性もある。仮に言論の自由を盾にしても明確な差別が認められた場合、行政は毅然(きぜん)とした態度を示す必要がある」と話している。

クリハラチアキ
これはいかん。
たしかに同性婚のデメリットとしては「制度の悪用」があるが、
それは既存の社会制度にもありうること。
LGBT関連の政策決定に限られたデメリットではない。



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