「LGBTという言葉がなくなるくらい、性の多様性が当たり前の社会に」 高校生が創作ダンスに込めた思い
ダンスで表現、「みんな違ってみんないい」。県立那覇高校のダンス部がLGBT(性的少数者)をテーマにダンスを創作し、今月上旬の全国大会で披露した。予選突破はならなかったが、1年かけて「性の多様性」を学び、全身で力強いメッセージを発した。生徒らは「LGBTという言葉がなくなるくらい、性の違いが当たり前の社会になってほしい」と訴える。
ダンス部は毎年、1カ月ほど議論してテーマを決める。昨年の今ごろ、「LGBT」が候補に挙がる中、部員を襲ったのは不安と恐怖だった。
3年の富原万里加(まりか)さん(18)は「表現を間違って、当事者を傷つけたらどうしようと怖かった」。同級生の安里結生(ゆい)さん(17)も「私たちが安易にやっていいのかな」との不安に駆られた。一度は別のテーマに決まったものの、「LGBTをよく知らない人が多い。自分たちが取り組む意味がある」と最終決定した。
動画投稿サイト「ユーチューブ」やインターネットで、LGBT当事者の気持ちや歴史などを調べた。部員は白、赤、黒のランドセルを使って性の違いを表現。心と体の性が異なるトランスジェンダーの主人公が差別を乗り越え、自分らしく生きていくストーリーを組み立てた。タイトルは「にんげんといろ~性々堂々とこの世界を生きていく」。みんな違ってみんないい、とのメッセージを込めた。
4分半のダンスの最後、約30人の出演者はレインボーフラッグを取り出し、笑顔を爆発させる。校内で発表すると、LGBT当事者の生徒が「勇気をもらえた」と言ってくれた。今年1月の県大会で優勝。今月7日、神戸市での全国大会でも披露した。
3年の平良凱(がい)さん(18)は昨年のピンクドット沖縄にも参加していた。「性の多様性を伝えられてうれしかった」。富原さんも「やって良かった。親世代はLGBTについて分からない人が多いので、自分たちが伝えていきたい」。安里さんは「性別は個性の一つと考えられるようになればいい」と期待した。虹色の社会に向かい、生徒らは歩み続ける。 (真崎裕史)
いったん周知のフェーズがあって、次は浸透するフェーズだ!