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遺伝子はどのようにしてトランスジェンダーを形作るのか?

トランスジェンダーは決して特異で奇妙な現象ではなく、身長が高かったり低かったりするような多様性の一種に過ぎない

トランスジェンダーの人々は古くから世界中のあらゆる文化の中に存在していますが、ほとんどの社会においてトランスジェンダーの人々は拒絶や差別の対象でした。この差別は多くが「トランスジェンダーは後天的な理由によってなるものであり、そのような人々は何かがおかしいのだ」という意識に基づいているとのこと。しかし、ここ数十年でトランスジェンダーについての研究が進み、トランスジェンダーは精神的な要因よりも生物学的な要因によって発生するものだという証拠が数多く発見されているそうです。

精神科医のHerbert Bower氏は「トランスジェンダーは生物学的な要因で引き起こされるのではないか」とも考えており、その可能性を探るために遺伝学者であるGraves氏のもとを訪れたそうです。
Bower氏は、男性の発育を制御するY染色体上の遺伝子である「SRY遺伝子」に目を付けました。SRY遺伝子は未分化の生殖腺を精巣へと誘導する働きを持っており、精巣で作られたホルモンが男性への性分化を促します。Bower氏はトランスジェンダーの男性においてSRY遺伝子が正常に働かない可能性を考えていましたが、残念ながらSRY遺伝子がトランスジェンダーに直接関与しているわけではなかったとのこと。

確かにSRY遺伝子がうまく働かない突然変異はありますが、SRY遺伝子が働かなかった場合、Y染色体を持っていてもその人物は生物学的には女性ということになるそうです。その後の研究でも性決定に関わる遺伝子の変異がトランスジェンダーを生み出すということは立証されませんでしたが、一連の動きによって「トランスジェンダーは環境的要因ではなく、何らかの遺伝子の働きによって作られるのではないか」という考えが広まったとGraves氏は述べています。

あらゆる遺伝子に関する研究は、多くの場合双子を研究することによって始まります。2011年の研究によると、基本的に同一の遺伝情報を持つ一卵性双生児においては、2人ともトランスジェンダーであるか2人とも生物学的性と精神的性が一致する確率が、通常の兄弟や二卵性双生児よりも高いことが明らかになりました。この結果は、遺伝子がトランスジェンダーに影響を与えていることを示唆しています。

2018年の研究では、性転換手術を受けたか計画している380人のトランスジェンダー女性380人をサンプルに、ホルモン経路に関わる遺伝子を詳細に調べました。すると、トランスジェンダーの女性は高い頻度で、子宮内で発達している途中のホルモン経路に関わる特定の遺伝子タイプを持っていることが明らかになったとのこと。

また、これまでの研究からトランスジェンダーに関する遺伝子は性染色体上に存在する必要はなく、トランスジェンダーは生物学的性と関連なしに発生する、分離可能なものである可能性が高まっています。

生物学的性と精神的性が関係ないということは、生物学的男女の中でそれぞれに「男性的な性自認」および「女性的な性自認」が広がっていることを示唆します。つまり、男性の中には「男性的な男性」から「女性的な男性」までが幅広く存在し、女性の中にも「男性的な女性」から「女性的な女性」が存在するということ。

Graves氏はこの種の異なるアイデンティティを「身長など同じ」であると考えています。男性は平均して女性よりも十数cm身長が高い傾向にありますが、女性の中にも身長が高い人は存在し、当然ながら男性の中にも身長が低い人が存在します。トランスジェンダーの問題もこれと同様であるとGraves氏は考えています。

トランスジェンダーが遺伝的要因に基づくという議論の中で話題になるのが、「もしもトランスジェンダーが遺伝するものならば、生物学的な性と精神的な性が一致しないトランスジェンダーの人々は生殖活動において不利であるため、世代を重ねるうちにいなくなってしまうのではないか」という反論です。

この点についてGraves氏は、「トランスジェンダーに影響を与える遺伝子は、他の性別においてはポジティブな影響を持つ可能性がある」と考えています。つまり、「女性らしい女性」と「男性らしい男性」はより多くの子どもを残す可能性がありますが、女性らしくなる遺伝子が男性に影響した場合にトランスジェンダーになるという仮説です。

ゲイの男性は「男性を愛する遺伝子」を持っており、その親戚の女性も同じ「男性を愛する遺伝子」を持っているはずだとGraves氏は考えています。実際に過去の(PDFファイル)研究では、ゲイの男性を親戚に持つ女性が多くの女性を産む傾向にあるということが明らかになりました。
Graves氏は多くのセクシャルアインデンティティに関する遺伝子変異体が性的拮抗作用と呼ばれるものであり、遺伝子変異が男性と女性において異なる価値を有していると指摘。トランスジェンダーは決して特異で奇妙な現象ではなく、身長が高かったり低かったりするような多様性の一種に過ぎないとGraves氏は述べています。

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