アメリカでLGBTQの権利を守る法案が提出される
アメリカではLGBTQの権利が法的に守られていない州が実は30もある。これらの州では雇用、家を借りたり住んだりする権利、教育機会などが性的志向やジェンダーアイデンティティによって差別されたとしても罰則を受けることがなく、フロリダ州、テキサス州、アラバマ州などが含まれる。反対に完全に守られている州はカリフォルニア州やニューヨーク州、ハワイ州など20州。
この状態を解消するためLGBTQの人々に対する差別を禁じる連邦法案が今週、下院に提出された。この法案を支持しているタミー・ボールドウィン議員はウィスコンシン州で初めてゲイをカミングアウトした議員。「みんなが夢を追いかける機会、成功するチャンスを同等に持つ権利があります。ですからこの平等法を提出しました」「この平等法はそのための戦いの答えです」と語っている。法案は1964年公民権法をもとに作成、現時点で禁止されている人種、性別、宗教、国籍での差別に性的志向とジェンダーアイデンティティを加えている。
成立なるか? アメリカでLGBTQの権利を守る法案が提出されるテレビのトーク番組でアピールすることも。タミー・ボールドウィン(Tammy Baldwin)、セス・マイヤーズ(Seth Meyers)NBC+GETTY IMAGES
この法案はアメリカのIBMを始めとする有名企業のトップや人権活動団体からも多くの支持を集めている。アメリカではこれまでも同じような法案が何度か議会に提出されてきたけれど、採決までたどり着かなかった。でも現在下院の多数派は民主党で、多くの議員はLGBTQの権利向上に賛成している。さらに一部の共和党議員もこの法案に賛同しているという。ボールドウィン議員は今回は下院を通過するだろうと自信を見せ、上院での採決を望むと語っている。「もし採決されなかったとしたら、2020年の大統領選挙はとても重要なものになると国民に示すことになると思う」とボールドウィン議員は語り、大統領選挙でLGBTQの権利問題が争点の1つとなると示唆している。オバマ政権下では同性婚が合法化し、トランスジェンダーの入隊が認められるなど、LGBTQの権利が向上したアメリカ。でもドナルド・トランプ大統領の下では後退しているとボールドウィン議員は指摘している。例えばトランプ大統領はトランスジェンダーの入隊禁止を表明しているけれど、ボールドウィン曰く「現政権では教育、司法、防衛の分野でLGBTQに対する法的な保護が失われている」。この法案が成立、LGBTQの権利がアメリカ全土で法的に守られる日が訪れるのか続報に注目したい。
(text : Yoko Nagasaka)
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不寛容は寛容を超えられないのだよ。