恋愛しないといけないの?「LGBTQ+」のアセクシャル(無性愛)とは
「LGBTQ+」のアセクシャル(無性愛)とは
性的マイノリティの総称として使われる「LGBTQ+」に含まれる「A」の「アセクシャル(無性愛)」って知ってる?(フロントロウ編集部)
「LGBT」に限らずすべてのセクシャリティを包含できるように「LGBTQ+」という表記を使用しているフロントロウ編集部では以前インターセックス(I)について特集したが、今回は、“A”が指す「アセクシャル(無性愛)」を特集。
アセクシャル(無性愛)とは?
無性愛認知教育ネットワーク(Asexual Visibility and Education Network)は、アセクシャルについて「他人に性的魅力を感じない、または性的欲求を持たない人」と定義している。主に、恋愛感情に関係なく、性的に他人に惹かれる感情をもたない人を指し、海外では主にこの定義が使われることが多いが、日本では恋愛的感情を持たないこと(アロマンティック)をアセクシャルと呼ぶこともある。全人口の1%から3%の人がアセクシャルだと言われている。
恋愛感情を抱いても性的欲望を感じない人や、どちらも感じない人など、その種類はさまざまで、ほかにも「デミセクシャル(※1)」や「ノンセクシャル(※2)」など、新しい単語が登場している。
※1 ごくまれにしか、そして親密な関係にある相手にしか性的欲望を感じない人のこと
※2 恋愛感情を抱くけれど、他人への性的欲求は持たない人のこと。アセクシャルの人々を悩ませること
「アセクシャル」の定義を聞いた人々が抱きやすいのは、「アセクシャルの人々は他人への愛情をもたない」という誤解。けれど、アセクシャルであっても友情や愛情は抱く。恋愛感情や性的欲求といった感情と、友人や家族に対する友情や愛情などの気持ちを別々に持つのと同じこと。
画像: 2010年にアメリカで作られたアセクシャルのフラッグ
2010年にアメリカで作られたアセクシャルのフラッグ
また、「どうしてデートしないの?好きな人はできないの?なぜ異性に興味をもたないの?」とプレッシャーをかけられることも多く、プライド・パレードなどでは、誰を愛するかが個人の自由であれば、恋愛をしないという選択も個人の自由であるといった訴えが叫ばれる。
もうひとつのAとは?
画像: もうひとつのAとは?
ちなみにLGBTQ+コミュニティで使用される「A」には、ほかにもうひとつ「アライ(Ally)」がある。英語で「同盟、支援」を意味するallyが語源で、性的マイノリティの当事者ではない人が、性的マイノリティを理解し支援するという考え方、あるいはそうした立場を示すために使われており、近年ではSNSなどのプロフィールで「アライ(Ally)」と宣言する人が増えている。
画像: 英プライド・マラソンでLGBTQ+コミュニティへのサポートを示すモデルのベラ・ハディッドとケンダル・ジェンナー
英プライド・マラソンでLGBTQ+コミュニティへのサポートを示すモデルのベラ・ハディッドとケンダル・ジェンナー
以前と比べ、LGBTQ+へのポジティブな考えが多く聞かれるようになっているけれど、まだまだセクシャリティの多様性について、社会全体の理解が乏しいのは現実。自由と多様性に満ちた世界のために、まずは知るところから始めたい。(フロントロウ編集部)
「彼氏作らないの?」→「私アセクシャルなの」→「あ、そうなのね」
みたいなのが普通の会話になればいいなぁ!